イップスの引き金(トリガー)1、ゲシュタルト崩壊
イップスになってしまう(この表現が正しいかわかりませんが)のはなぜか。
原因、要因、遠因、いろいろありますが、とにかくトリガーになってしまうものについて少しずつ説明することを試みます。
今回は、ゲシュタルト崩壊について。
ゲシュタルト崩壊とは何か
インターネットで探すと、漢字を見てゲシュタルト崩壊を起こす例ばっかりだなぁ。
その中でも比較的ゲシュタルト崩壊についてわかりやすく説明しているものを見つけたので、貼っておきます。
https://psych.or.jp/interest/ff-34/
ゲシュタルトとは、ドイツ語で形態、全体、まとまり、構造というような意味です。
ゲシュタルトが崩壊するということは、全体でまとまっていたものが崩れるということです。
野球を例にしましょう。右手でボールを投げるとき、普段は投げる先、ボールを掴むミットやグローブめがけて投げます。
これは無意識に全身運動で行います。
投げようとしたときに、「あれ?踏むのは右足だっけ?左足だっけ?胴体はどれくらいひねるんだったかな?手首のスナップの効かせ具合は?」なんてことが一瞬よぎってしまうと、注意が気になった部位に向き、身体全体としてどう動いていたかがわからなくなってしまう、という経験はないでしょうか。
これが、全身運動の連動が崩れるということです。
動きのまとまりが崩れる=ゲシュタルト崩壊
潜在意識と顕在意識のボーダーラインで起きやすく、理解には潜在意識についての知識も必要です。
潜在意識については、私のアメブロの方のブログを読んでいただくか、
http://ameblo.jp/kamisamanorule/
心の構造を知るベーシックセミナーを受けていただくと良いと思います。
あ。来週スタートよ。
セミナーについてはリンクをご覧くださいませ。
http://ameblo.jp/kamisamanorule/entry-12197456648.html
知覚認知の分野なので、メンタルとして扱われがちですが、身体を動かすこととの関連も非常に大きいのですよ。
人間が発達段階においてある動きを獲得していく過程、潜在意識に組み込まれ、無意識でもその動きができるようになるそのインプットの仕方を追うことで、私のトラウマを外す技術ができましたからね。
話しをゲシュタルト崩壊に戻しましょう。
スポーツとゲシュタルト崩壊を結びつけた記事を見つけたので、貼っておきます。
https://hashimochi.com/archives/1972
こちらの記事は、全体性を重視したトレーニングはできないものか?で終わっていますから、解決はないのですが。
考える時間があるのが悪いみたいなことが書いてありますが、野球のピッチャーやゴルフの選手なんかは、どうしたって考える時間があるわけですから、無意識に任せることはできません。
だからイップスという言葉がゴルフで始まり、野球で目立つわけですよね。
サッカーやバスケットといった、動くボール、相手チームの選手の動きに対して素早く反応するスポーツでは、あまりゲシュタルト崩壊が起きる余地がないのは確かです。
テニスやバドミントンのサーブは、自分からスタートする場面なので、時間があります。フィギュアスケートやスキーのような、一人でプレーをするものも、考える時間ができてしまいます。この一瞬考える時間ができてしまったときに、ゲシュタルト崩壊が襲ってきます。
ああ、あれか。
なんて思い当たる経験があるのではないでしょうか。
しかし、ゲシュタルト崩壊が起きたからといって、必ずしもイップスになるとは限りません。練習中にゲシュタルト崩壊を起こしても、あれ?あれ?と何度か練習するうちに、ああ、そうそうこの動きだよ、と取り戻せる場合がほとんどです。
ゲシュタルト崩壊がイップスに結びつくほど深刻になるのは、やはり失敗した経験と結びついてしまったり、焦りすぎてドツボにはまったとき、つまりメンタル(潜在意識)が関わってきます。
メンタルとの関わりは、追って記事を書いていきますね。今回は、まずトリガーとしてのゲシュタルト崩壊について、です。
ゲシュタルト崩壊を起こさないためにできること
簡単な、応急処置的にできることは、リンクした記事にある通り、考える余裕をなくすことです。
練習通りやればいいんだ!
あれ?練習のとき、どうやってたっけ?
なんて考えたらもう…なのですよ。
それよりはとにかく体を動かしてしまうことです。
普段の練習からゲシュタルト崩壊を起こさないように作り上げるなら、徹底的に認識することをお勧めします。
イチロー選手は、バットを構えるまで、いつも同じ行動をしていますね。足の運びから手の振り、バットの掴み方持ち上げ方まで全て。あれは、全てのことを、自分の頭で認識して決めた「型」として行っています。全身の「どうやってたっけ?」がない状態を作っているのだと思うのですよ。ゆっくり考えてもゲシュタルト崩壊が起きるスキがない状態をしっかりと作り上げているのです。
「お決まりの行動」が持つ重要さ。イチロー選手ってやっぱりすごい。イチロー選手ステキ。好み(←関係ない)。
イチロー選手のように、反復をただの反復でなく、身体の隅々まで認識して、バラバラな個々の動きから全身の統合まで認識してコントロールするために繰り返し身につける練習として行えば、ゲシュタルト崩壊を起こす危険はぐっと減ります。第一線で活躍するには、半端じゃない積み上げが必要ということですね。
音楽家は、一音一音、一小節ごと、いちいち認識して練習しています。そのとき指はどのくらい上がっているのかまで。それくらいしなければ、演奏家としてはやれません。イチロー選手と同じ感じ。しかし、全身運動じゃないので、認識するべき範囲が狭いのですよね。細かいですけど。
なので、音楽家のイップスは、メンタルが元になっているものが主です。
理由は違いますが、先ほど書いた、サッカーやバスケットなど動きっぱなしのスポーツも、ゲシュタルト崩壊からのイップスは比較的少ないでしょうね。あくまで比較的、ですけど。
イップスのトリガーとなるゲシュタルト崩壊について、ご理解いただけたでしょうか。
この理解を持つだけで、練習の組み立てや方向性がかなり変わると思います。
ぜひ取り入れてみてくださいね。